中期経営計画作成その他、税金に関すること

税理士です。経営計画を川口市、さいたま市、東京近郊でつくってます。

pdcaサイクル手法

いつもブログを読んでくださり、誠にありがとうございます。 経営計画書を作成している会社では、PDCAサイクルが上手くまわらなくて悩んでいる会社もあります。今回は、そんな悩みをお持ちの経営者のかたのためのブログです。ただ、とらえようによっては、受験勉強をしている方などにも参考になるかもしれません。

PDCAサイクルの具体例」

PDCAサイクルとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の頭文字をとったものです。PDCAサイクルと言えば、私の場合は、昔、税理士試験、今、経営計画書です。税理士試験では、合格するためには、大原簿記学校かTACといった受験の専門学校に通う必要がありました。こうした受験の専門学校でテキストと同時に渡されるのは、学習計画表というものでした。そこには、、年間の授業のコマ数ごとにテキストのページや宿題の範囲、模擬試験の日程などが掲載されていました。このPlanを作るのは、専門学校側です。そして実行するのは、税理士試験の受験生です。毎回、講義がおわるたびに学習計画表に沿って、税法や簿記の計算問題を時間を図って解いたり、税法の条文の丸暗記をするわけです。こうした宿題の積み重ねにより、本当に理解できたかどうかをチェックするのが、専門学校の作ったテストでした。評価の基準は、おおむね全体の上位3割が本試験で合格できるといわれていましたので、その点数をとるために頑張ったものです。上位3割とは、テストを受けた受講生の数のうち、得点の高い上位3割でした。そしてテストを受けた後、改善の段階にはいります。講師からテストの解説を聞き、回答集の解説に目を通し、得点できなかったところをミスノートをつけて、箇条書きにしました。不思議なもので、ミスをノートにつけてゆくと、ミスにもパターンがあることがわかりました。テストを何回も受ける中で、自分のミスの傾向を把握することで、同じ問題が出たら、2度と間違わないようにと心を引き締めたものです。こうしてミスの傾向を把握すると同時に、ミスの分析もしました。税法は計算問題と理論問題に分かれるのですが、税理士試験の場合、時間内に解き終わることはまずありません。そのため、時間配分のミスが合否をわけることとなり、計算と理論でどちらに時間を配分するのが、いいのかも考えました。こうして、専門学校が作った計画を宿題で実行し、テストで評価し、ミスの洗い出しをすることで改善することを8年もやってきたためか、試験に受かったいまでも、PDCAを回す癖がついています。現在は、経営計画書の良さをもっと多くの人に知ってもらうためにはどうしたらいいかの計画書をたてて、実行し2年になります。税理士受験時代から数えてPDCAとの付き合いが10年になります。ブログ以外にも、事務所通信やセミナー、既存のお客様への御提案など、様々な形で実行しています。それを評価・改善するのは、毎週開いているミーティングの場です。ミーティングでは、一人一人が今週取り組んだことを報告します。そのうえで、「ここはもっとこうしたほうがいい」とか、「あそこはこうすべきだった」といった議論を重ね、次回のミーティングまでに誰が何をするべきかを話し合っています。こうした打ち合わせを70回もやっていると、メンバーの成長が手に取るようにわかります。PDCA歴10年の人間と毎週、評価・改善を繰り返すわけですから、他のメンバーが成長しないわけはありません。

 

「中小企業でPDCAが機能しない理由」

このようにPDCAサイクルは、受験からビジネスまで幅広く活用できることをこの10年で実感してきました。にもかかわらず、書店でPDCAサイクルの本を買ったりすると、多くの中小企業では、PDCAサイクルが機能しないなどと書かれています。一体なぜでしょうか?会計事務所に勤めて10年になりますが、個別の事情は差し控えたうえで、一般論として中小企業でPDCAサイクルが機能しない理由を5つほど、あげてみます。

① 社長がワンマン

中小企業の場合、業務が属人的なためか、社長にすべての権限が集中することも珍しくありません。新規の顧客の契約の締結や銀行交渉、決算書の閲覧や新商品の開発、といったことはもとより、細かい話だと、郵送物の提出や従業員が休憩中に飲むお茶の購入までいちいち社長の許可をとらなくてはいけない場合もあるようです。こうした会社の場合、取引先からの電話も社長に集中し、従業員からの相談も社長に集中し、となり、社長の携帯電話はいろんな連絡事項で年がら年じゅう鳴りっぱなしとなったりします。 そうなると、社長自身の首が回らなくなり、経営計画を立てるゆとりすらなくなってしまいます。仮に経営計画を作ったとしても、社長がワンマンだと、社長の作った計画を社員に押し付けるだけとなり、社員のモチベーションアップには、つながりません。税理士試験の受験でも専門学校が作った計画を受講生はひたすらこなすだけでしたが、受講生には、税理士になるという個人目標があったから、頑張れました。中小企業で社長がワンマンな場合、その先に社員の個人目標の設定が可能なら、トップダウンでつくった計画を押し付けても問題ないですが、そうでない場合、計画倒れとなりがちです。

② チェックのしくみがない

経営計画書を作ったものの、チェックするしくみがないために、結局、机にしまっておいたという会社も珍しくありません。チェックするには、試算表を毎月作ることも必要です。試算表を毎月つくっている会社は、会計事務所のうちでも、4割くらいではないでしょうか?税理士試験の受験時代は、毎月1回はテストがあり、自分の得点をチェックしたものでしたが、毎月の試算表は会社の得点のようなものです。毎月の経営成績を把握しない会社が半数以上占めるのは、税務署や銀行に決算書類を出すのが年に1回だからと思います。もちろん、税金の中間納付や期の途中で融資を受ける場合など、税務署や銀行との接点がありますが、事業年度も1年で区切られるため、毎月のチェックがなおざりになってしますのです。

③ 過去のトラウマ

ブログでずいぶんと経営計画書のことを書いてきましたが、すでに過去に一度経営計画書を作って失敗した経験をもつ経営者のかたも少なくありません。中小企業診断士や大学教授のもとで指導を受けて経営計画書をつくってみたものの、全然機能しなかっため、もう二度とやらないと心に決めている経営者のかたもいます。また、毎月の計画と予算のずれをチェックしていても、ずれの原因や対策が見つからず、苛立ちを覚え、経営計画書を作ることをやめてしまったかたもいます。

④ 時間がない

経営者も社員も通常業務に追われ、時間がないケースもあります。経営計画書の担当部署の場合、法人の決算が毎月あるので、毎月どこかのお客様に計画書の御提案をしようにも、担当者が個人の確定申告や年末調整に追われると、部署の計画が滞りがちです。 ⑤ 評価されない

会社で経営計画書を立てて実行しても、社員の個人目標の達成状況に応じた評価のしくみがないと、社員は頑張れません。それもただ、ざっくりと新規の契約をとったら、賞与に2割加算といったきめ方ではなく、全体ミーティングなどで、成果の発表の場をもうけ、その社員の貢献度をしっかりたたえないと、社員は動きません。単に「頑張れば、いくらお金を支給します」といったことだけではなく、計画や目標の達成状況に応じタイムリーに褒め言葉を投げかけないと、実行、評価、改善へとつながりません。

 

PDCAサイクルを確立するには」

 

上記①~⑤のそれぞれについて、対処法を検討します。

① 社長がワンマン

社長がワンマンになる理由の一つは、社長と社員との間の情報量の違いにあります。 社長のほうが、圧倒的に経験値も人脈もあるので、情報量が社員に比べて多くなってしまいがちです。そのため、社長のなかには、社員の情報量の少なさから、社員に何をしゃべっても、理解できないと決めつけるかたもいます。しかし、本当にそうでしょうか? ある会社で経営会議を開きました。経営会議は、経営計画書のチェックをする場です。その会社も設立以来10年は、ワンマンでしたが、経営会議では、社長が想像していたより多くのことを社員が積極的に発言しました。社員は、社長が想像していた以上に会社のことを思い、経営計画書の理解を示したのです。会計事務所として会議の開催をサポートしたため、社員全員が自分の意見を述べ、会議は充実したものとなりました。社員に何を言っても無駄とあきらめる前に、第3者である会計事務所を仲介として、経営会議を開くと思わぬ発見があるかもしれません。

② チェックのしくみがない

チェックのしくみは、経営会議やミーティングも有効です。会計事務所の担当者が訪問した先に、試算表をチェックするのでも問題ないです。ただ、財務状況をチェックするには、専門家に相談するのが一番です。経営計画書のチェックは、財務分析の知識が必要とされることもあります。そのため、こうしたしくみを整えるには、財務に詳しい専門家に相談してみることが必要です。なお、試算表を毎月作るかどうかは、その会社の考えによりますが、税務申告だけのために数字を見るのではなく、経営管理のために数字を見る場合、クラウド会計の利用などもふくめ、やはり、毎月作るようにしたほうがよいと思われます。

③ 過去のトラウマ

過去に経営計画書を作って失敗したと感じているかたに、無理やり、経営計画書の提案をするつもりはありませんが、経営計画書をチェックするしくみを見直したうえで、再びチャレンジするのもよいかと思います。経営計画書を作って失敗した方は、作ることにエネルギーを注ぎすぎているようです。つくったあとのほうが肝心なのに、作って息切れしたり、つくったとのチェックにそれほど、気を配っていないのです。 その点、会計事務所にチェックさせると、非常に楽です。

④ 時間がない

経営計画書のチェックを毎月、行っていますが、ひまな社長さんはいません。みなさん忙しいためか、往々にして、当初の予定の1週間後にチェックが引き伸ばされます。それでも、時間がつくれるのは、月1回1時から1時間半と時間を決めてしまうからです。不思議なもので、時間を決めると時間はつくれてしまいます。時間がないというのは、時間をつくろうとしないだけかもしれません。時間をつくるきっかけになるのが、意外と会計事務所からの電話だったりすることもあります。

⑤ 評価されない

評価はタイミングと金額が肝かもしれません。経営計画書を作る際に、個人目標を設定しますが、その目標の達成状況をしっかり確認し、タイムリーに賞与等に反映させることで、経営計画書のチェックの際の評価改善につながってゆきます。 経営計画書のチェックでは、こうした個人目標に照らし、評価のしくみまで経営者のかたと考えてゆきます。 「おわりに」 PDCAサイクルを確立することは、非常に負荷がかかります。そのため、自分でやるのもいいですが、誰かと一緒にやるとサイクルの確立までの時間が短縮します。そして、このサイクルを確立することで、目標を達成したときの喜びは何にも代えがたいものがあります。 まだのかたは、ぜひ、会計事務所とともに経営計画書にチャレンジしてください。